「予知保全」とモータ用インバータ

生産ラインにおける機械の生産性向上や保守費用削減のために、製造現場では、異常を事前に予知することで故障前にメンテナンスを行う「予知保全」が注目されています。


インバータから機械データを見える化

モータ用インバータは、機械駆動を行うモータ部と、モータ部を制御するインバータ部で構成されています。インバータは駆動させているモータの「速度」「電流」「トルク」「消費電力」等のデータをリアルタイムで収集できることから、機械のモニタリングとして活用することができます。つまり、インバータは、機械データを”見える化”し、その”見える化”データを機械保守の情報源とすることで、いつもと異なる機械の動きを検知し異常を予知することができるのです。


モータ用インバータを活用した故障知

最近の特許情報から、モータ用インバータを活用した故障予知に関する特許情報を見てみましょう。


故障・寿命の予知

機械学習や周波数解析などの手法により、モータ用インバータの故障や寿命を予知することに特徴がある特許情報が表れています。


例)WO2021/166366(株式会社安川電機)

電力変換システムの機能構成の一例を示す図(図3)


インバータの異常・劣化(電子的特徴)

電圧や電流などの電気的特徴を監視し、モータ用インバータの異常・劣化(センサの故障を含む)の検出や、原因の診断などを行うことに特徴がある特許情報があります。


例)特開2021-184677(株式会社デンソー)

電流センサが故障と判定された相の数に応じて電流フィードバック制御を切替える(図9)

モータの異常・劣化(機械的特徴)

回転角や温度などの電気的特性を監視し、モータの異常や劣化(センサの故障含む)の検出や、原因の診断などを行うことに特徴がある特許情報を取り上げました。


例)WO2021/240191(日産自動車株式会社、ルノー エス.ア.エス)

監視制御装置を示すブロック図(図1)


100%の機械故障予測は難しいものの、インバータで収集した情報を、故障可能性を診断する情報の一つとして使うことは、生産性向上やコスト削減において大きなメリットといえるでしょう。機械が故障してから交換するのではなく、故障する前に交換する「予知保全」によって、高い稼働率を維持することができます。また、異常の予兆が分からず定期メンテナンスを行っていた保守担当者は、アラームが出たタイミングでメンテナンスをする運用に切り替えることができ、不必要なメンテナンスが減りコスト削減につながります。


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